細切れに起きたり、寝ながらあちこちに動き回ったり、ときには起き上がって方向転換したり……。
親自身の感覚で考えると「本当にちゃんと眠れているのかな?」と心配になりますよね。
でも、子どもの睡眠は、そもそも大人とはリズムが違うのです。

専門家:榊󠄀原洋一(お茶の水女子大学名誉教授・小児科医)
加藤祐見江(健康相談員)

【目次】
成長にしたがって変化する「睡眠」
細切れ睡眠の秘密は「レム睡眠」「ノンレム睡眠」のリズム
「レム睡眠」「ノンレム睡眠」どちらも成長には欠かせない

成長にしたがって変化する「睡眠」

子どもが1歳を過ぎてもまとめて寝ません。夜9時には寝るのですが、2~3時間おきに目を覚まします。まだ3時間以上まとめて寝たことがなく、いつになったらまとめて寝るようになるのかと悩んでいます。

睡眠は個人差が大きい 

生まれたばかりの赤ちゃんの睡眠時間は約15~16時間ですが、こま切れに眠ります。それが、だんだんまとまって寝るようになります。夜寝る時間が増え、お昼に起きているようになるのです。ただ、そうなるまでには、眠る時間や間隔など個人差があります。個人差が非常に大きいのが眠りの特徴です。敏感ですぐに目が覚めるという子もいますが、いずれまとめて眠るようになります。(榊原洋一さん)

夜、子どもが目覚めてしまったらどう対処したらよいですか?

部屋を暗く静かにして「夜は寝る時間」と習慣づける

寝る時間を生活習慣にすることが大事です。時間になったら部屋を暗く静かにして、「今は寝る時間だよ。静かにしようね。安心して眠ってね」と声をかけましょう。(加藤祐見江さん)

細切れ睡眠の秘密は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」のリズム

睡眠のリズムは、睡眠中に起こる眠りの種類、レム睡眠とノンレム睡眠によって形成されます。

レムとは「Rapid Eye Movement」の頭文字をとったもの。体は寝ているけれど、脳は起きている状態……いわば「浅い眠り」。この眠りのときに、寝返りをしたり、夢を見たりします。ノンレム睡眠(Non Rapid Eye Movement Sleep)とは、逆に目が動かない眠りのこと。いわば「深い眠り」です。脳も体も深く休んでいて、体はほとんど動きません。

眠っているとき、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)が、一定のサイクルで繰り返されています。例えば、大人のレム睡眠とノンレム睡眠の組み合わせの1セットは90~120分。幼児は1セットが40~60分で、睡眠全体でみたレム睡眠の割合が大人よりも多く、新生児だと、1セットが40~50分とさらに短くなり、寝ている時間の半分以上がレム睡眠になっています。つまり、幼いときほどレム睡眠の回数が多く、その割合も多くなっています。小さな子どもが、目が覚めやすく寝相が悪いのは、レム睡眠が多いからなのです。

2歳10か月の息子が、急に泣きながら寝言を言いつづけることがよくあります。驚いて「大丈夫?」とさすると逆に「やだやだ!」とエスカレートしたり、無理に起こしてもそれで泣いてしまったり、どう対応すればいいかわかりません。眠りの質が悪くなっているのでは? という心配もあります。

寝言を言っていても眠りの質が悪いわけではない 

寝言の内容によっては心配するかもしれませんが、寝言はレム睡眠(浅い眠り)のときに生じるもので、眠りの質には関係ないと言われていますので、心配はいりません。寝言の多い少ないも、睡眠の個人差のひとつです。(榊󠄀原洋一さん)
寝る時間帯であれば、そのまま「まだ寝る時間だよ」と寝かしつけてあげましょう。(加藤祐見江さん)

「レム睡眠」「ノンレム睡眠」どちらも成長には欠かせない

レム睡眠(浅い眠り)が多くて、ちゃんと休めているのか心配になるかもしれません。でも実は、レム睡眠の間に、自律神経やホルモンのリズムを整えたり、記憶や感情を整理すると言われています。子どもの脳の発達のためにレム睡眠は欠かせないのです。
一方、ノンレム睡眠(深い眠り)は、体の発育に大切です。眠り始めてから2~3時間の間にあらわれるノンレム睡眠のときに、成長ホルモンが最も多く分泌されます。
つまり、レム睡眠とノンレム睡眠がセットになって、リズム正しく睡眠をとることが大切なのです。

(②に続く)

©NHK

※本記事は、 NHK 「すくすく子育て」のホームページの記事を元に構成・編集・加筆しています。記事を読んでもっと知りたいことがありましたら、ぜひ「マムアップパーク by 健幸スマイルスタジオ」にご参加ください。お待ちしています!
※記事の内容や専門家の肩書などは2024年7月当時のものです。