子どもが病気になったときの家での看病のしかたは、世代や家庭によって違いがみられます。このため、迷ってしまう人も多いようですね。子どもが体調不良になったとき、家でのケアはどうしたらいいのでしょうか?

専門家:福井聖子(大阪府小児救急電話相談事務所長/小児科専門医)
白石裕子(東京工科大学 医療保健学部看護学科 教授)

【目次】
熱を出したときは冷やす?温める?
発熱時のお風呂はどうする?

熱を出したときは冷やす?温める?

8か月の娘をお祭りに連れて行った後、初めて39度の高熱を出しました。とりあえず冷やそうと保冷剤をタオルで巻いて首に当てたところ、子どもは気持ちよさそうに寝て、翌日には熱も下がりました。ただ、本当にそれでよかったのか。ママ友は「薄着にして寝かせるといい」「がんがん冷やしていい」と言いますが、おばあちゃん世代は「あたたかくさせなきゃダメよ」と言います。どちらが正解でしょうか。

「子どもが快適な状態になること」を念頭に温・冷を選択して

発熱には経過があるので、それに合わせて対応を分けることがポイントです。熱が上がりかけのときは寒気がするのであたため、熱が上がりきったら涼しくして体を冷やす。一番大切なのは、子どもが快適な状態にすることです。3歳以下のお子さんは体温調節能力がまだ弱く、たくさん布団などを掛けると体温が上がってよりつらくなってしまうこともあるので、加減に気をつけましょう。
日ごろから、子どもの手足を触った時の感触を確認し、冷たいか温かいかの微妙な違いがわかるようにしておきたいですね。(福井聖子さん)

体を冷やす方法は「ぬれタオル&あおぐ」 

熱が上がりきったら、布団や衣服などを調節して涼しくしてあげてください。大人も熱があるときに冷やすと気持ちがいいところ、おでこや首筋、胸の辺りをぬれタオルで少しぬらし、状況によっては少しあおいであげます。熱中症などの熱でない限り、冷やし方はこの程度でじゅうぶん。手足が冷たくなってきたら少し冷やしすぎかもしれません。「お子さんが気持ちよさそうにしている」がベストな状態です。(白石裕子さん)

解熱剤は熱が上がりきってから

解熱剤は、熱が上がりきるのを待ってから使うとよいと思います。体の免疫機能に十分働いてもらうためです。冷たかった手足がポカポカと温かくなったら、が解熱剤投入の目安です。(福井聖子さん)

発熱時のお風呂はどうする?

同居している母から、「子どもが発熱しているときはお風呂に入れない方がいい」と言われます。汗もかいているし、元気だし、お風呂に入れてもいいのではと思いますが……。

元気があるなら「シャワーでサッと」

医学的観点から「発熱時のお風呂はダメ」ということはありません。ただし、元気があっても、熱があるときは体力が低下しているので、負担にならないようぬるめのシャワーでサッと流す程度にしておくのがよいでしょう。また、熱が上がりかけで寒気がしている時や、高熱でぐったりしている時に「習慣だから」と入れてしまうのはよくないですね。
世代によって熱が出たときの対応が異なるのは、住宅構造の変化も影響しているのでは。1、2世代前までは多くが木造建築で、現代よりも家の中が寒かったため、お風呂上がりの湯冷めを心配して「お風呂はやめたほうがいい」と言っていたのではないかと思います。(回答:福井聖子さん)

(③に続く)

©NHK

※本記事は、「NHKすくすく子育てch」の記事を元に構成・編集・加筆しています。記事を読んでもっと知りたいことがありましたら、ぜひ「マムアップパークby健幸スマイルスタジオ」にご参加ください。お待ちしています!

※記事の内容や専門家の肩書などは2024年7月当時のものです。