子どもが発熱、元気もなさそう……。病院に連れていくかどうか、そのタイミングはいつかなど、親はさまざまな選択を迫られます。専門家に、受診の目安や受診のしかた、迷った時の相談窓口を教えていただきました。

専門家:福井聖子(大阪府小児救急電話相談事務所長/小児科専門医)
白石裕子(東京工科大学 医療保健学部看護学科 教授)

【目次】
子どもの発熱、すぐに受診したほうがいいのはどんな状態?
免疫反応としての高熱と、脳に影響を及ぼす病気は別もの
子ども医療電話相談♯8000を活用しよう

子どもの発熱、すぐに受診したほうがいいのはどんな状態?

金曜の夜、10か月の息子が38度の熱を出しました。元気だし、夜間や救急にかかるほどでもないと思い、様子を見ることにしましたが、38.5~39度を行ったり来たりの熱が続き、月曜日の朝にかかりつけ医で突発性発疹と診断されました。夜間や休日、すぐに病院に行くべきかどうかは、どう判断すればよいのでしょうか。

発熱は体の免疫反応

発熱の多くの場合は、感染症のウイルスやばい菌と戦うための体の免疫反応によるものです。熱が高くても、自分の体力や免疫力で戦って負けていない状態なら、お家のほうがゆっくり過ごせますし、夜間に慌てて受診しなくてもいいでしょう。基本的には免疫力で乗り越えられる病気が多いのですが、「病気に負けて」いるようなら医療の支えが必要と考えてください。(福井聖子さん)

受診の判断は「病気に負けているかどうか」。その判断基準は?

病気に負けていてすぐに受診が必要なのは、以下のような場合です。

4か月以上の場合、遊ぶことができる、普通に食べられる、おう吐・下痢などがないというときは、負けていないと考えられます。
4か月未満の場合は機嫌が見分けにくいので、おっぱい・ミルクの飲み方や泣き声にも注意してください。泣き声が弱々しいときも心配です。また、「どこか変」は、いつもと違って何かがおかしい、というママやパパの直感。これはとても大事なポイントです。
熱の高さではなく、食べられるか、寝られるか、遊べるか、おしっこが出ているか、という全身状態が判断のポイントになります。(福井聖子さん)

免疫反応としての高熱と、脳に影響をおよぼす病気は別もの

3歳の娘が40度の高熱を出しました。実家の両親に「高熱が出ると脳に障害が残る」と言われて、慌てて夜間救急を受診しましたが、先生には「普通の風邪だから寝ていれば治る」と言われました。高熱で脳に影響が残ることはないのでしょうか?

「高熱=脳へのダメージ」ではない

風邪などで免疫反応として起きる高熱が、脳に障害を起こすことはまずないと言われています。脳に影響を及ぼす髄膜炎や脳症が高熱を伴うため、「高熱イコール脳へのダメージ」と誤解されることが多かったようです。子どもの脳の病気として恐れられてきたのは、ヒブや肺炎球菌などを主な原因とする「細菌性髄膜炎」ですが、現在は、これら2つの菌に対してワクチンが定期接種となり、激減しています。(回答:白石裕子さん)

熱の高さよりも、本人の状態に注目して見極めを

昔は、赤ちゃんの高熱には髄膜炎が隠れていることが多かったため、絶対に早めに受診したほうがいいと言われていました。予防接種が普及した今もそうした病気がゼロになったわけではありませんが、深刻な病気の場合には機嫌にもはっきりと表れますので、熱の高さより本人の状態を見極めることが大事です。(福井聖子さん)

子ども医療電話相談#8000を活用しよう

「子ども医療電話相談#8000」は、夜間や休日、子どもの病気やケガで困ったときの相談窓口です。相談を受けるのは、看護師や小児科医。子どもの状態を聞き取り、救急を受診すべきかなどのアドバイスをしてくれるとても心強い存在です。

子どもの状態、聞きたいことをメモして相談しよう

相談員は、お子さんの「食べる、寝る、遊ぶ、(おしっこやうんちを)出す」といった全身状態を重視して質問します。これらが病気の重症度、緊急度に大きくかかわるためです。相談する前には、お子さんの全身状態をよく観察して答えられるようにしましょう。他にも気になることがあれば事前にメモをして臨むとよいでしょう。病院受診時も同様です。後になって「あれも聞いておけばよかった!」と後悔しないですむようにしたいですね。(白石裕子さん)

(②に続く)

©NHK

※本記事は、 NHK 「すくすく子育て」のホームページの記事を元に構成・編集・加筆しています。記事を読んでもっと知りたいことがありましたら、ぜひ「マムアップパーク by 健幸スマイルスタジオ」にご参加ください。お待ちしています!
※記事の内容や専門家の肩書などは2024年7月当時のものです。