
「赤ちゃんとどう過ごす?③」では、言葉でのやりとりが難しい赤ちゃんとの関わり方、声かけのポイントを専門家に教えていただきます。
気負っているとついがんばりすぎてしまったり、無理をして疲れてしまったりしがちですが、大切なのは「ママ・パパが自然体で接すること」です。
専門家:汐見稔幸(東京大学 名誉教授/教育学)、岩佐寛子(日本助産師会/助産師)
保育園協力:青砥福祉保育園
【目次】
・赤ちゃんへの声かけ、どうやって?
・限られた時間、子どもとどう関わればいい?
・子どもの興味を大切に。「見守る」育児を心がけよう
赤ちゃんへの声かけ、どうやって?
マイペースな性格で、子どもへの声かけが苦手です。「わ~すごいね!」といったテンションの声かけができず、気の利いた言葉も出てきません。1歳の娘と2人で過ごすときはどうしても静かな時間が長くなってしまい、子育て支援センターなどで見かける声かけ上手のママたちと自分を比べて悩んでいます。
構えすぎず、パパに話しかけるような自然な声かけで十分
「子どもへの声かけのしかたがわからない」というお悩みを持つ方は多いです。相手が子どもだからといって無理にキャラクターをつくる必要はありません。パパやご友人に「おはよう」「今日はいい天気だね」と声をかけるのと同じく、自然と出てくる言葉で話しかけながら優しく見守ってあげてください。(岩佐寛子さん)
動作や気持ちを言葉にしてみる
食事のときに「はい、ご飯だよ。おいしいね」と言っていると、子どもは「これは『ご飯』なんだ『おいしい』なんだ」と、学んでいきます。声をかけることは、子どもにとっては言葉を知り、気持ちを伝えるための学びにもなるのです。 単語のように短い声かけでも十分ですよ。 (汐見稔幸さん)
★保育園では?

保育士さんは、子どもの動作や気持ちをできるだけ言葉にしてあげるそうです。たとえば、子どもがカップに物を入れて遊んでいたら、「あ、入ったね。カタカタ鳴っているね」。まだ言葉がわからなくても、大人が言葉にしていくことで、次にどうなるかを見通せるようになったり、気持ちが通じやすくなるのです。
親子の気持ちが通じ合うことが大切
大事なのは、ママ・パパと赤ちゃんの気持ちが通じ合うこと。たとえ言葉がなかったとしても、子どもの目をしっかり見てあげたり、子どもに合わせて手足を動かしたりすることで、十分通じ合えるのです。その関わりによって、子どもの心の大事な部分はきちんと育っていきます。(汐見稔幸さん)
限られた時間、子どもとどう関わればいい?
子どもは1歳5か月。職場復帰をしてから、子どもと一緒に過ごせる時間が少なくなりました。夕方保育園に子どもを迎えに行き、帰宅が6時頃。食事を作り、食べさせ、お風呂に入れ、子どもと過ごせる時間は帰宅から就寝までの1時間半くらい。朝も1時間ほどしかありません。子どものやりたいことに応えるには時間が足りないと感じています。
接する時間の長さではなく、子どもがどう感じているか
ママは誇っていいほどの頑張りようです! 帰宅してママと楽しく遊べるなら、保育園での生活に満足していると考えられます。子どもの中に確実に欲求不満がみられたら対応すればよいのです。子どもと接する時間が少ない=「問題がある」ではありません。関わる時間が少なくて「ごめんね」と思う必要はなく、むしろ「ママも頑張っているよ」と言ってあげるほうがよいと思います。(汐見稔幸さん)
疲れているときは「疲れた」と言ってもいい
親御さんが疲れているときは、「今日は疲れているから、ゴロンしながら一緒に遊ぶね」といった関わり方でよいと思います。そうすることで、子ども自身が疲れてしまったときに、「疲れた」と言葉にするなど、素直に気持ちを表現できるようになるのではないでしょうか。(岩佐寛子さん)
子どもの興味を大切に。「見守る」育児を心がけよう
子どもをいろいろとリードして発達を促したい、と思うのが親ごころ。ただ、小さい子どもの脳は処理できる情報量も限られています。たとえば風の音を静かに聴いているなど、子どもが何かに興味を向けているとき、親が横からいろいろなことを言ってしまうと、かえって子どもへの刺激が妨げられてしまうことがあります。子どもを見守り、「今、何か気になっているのかな。いい顔しているな」と感じることができれば、それでいいのです。(汐見稔幸さん)
★保育園では?


ブロックをうまくつなげられずに不機嫌になっている男の子。保育士さんは近くから見守っています。「くやしいね」など、挑戦を続けている子どもの気持ちに寄り添う言葉がけをしつつ、手は出しません。そして、男の子が自分の力で成功したとき、「できたね。よかったね。がんばったね」とほめていました。
子どもから求められれば手を差し伸べますが、そうでないときには近くから見守り、子どもの「やりとげる姿」を応援する。「適度な距離感で見守る」ことが、子どもと関わるときにはとても大切なのです。
©NHK
※本記事は、 NHK 「すくすく子育て」のホームページの記事を元に構成・編集・加筆しています。記事を読んでもっと知りたいことがありましたら、ぜひ「マムアップパーク by 健幸スマイルスタジオ」にご参加ください。お待ちしています!
※記事の内容や専門家の肩書などは2024年7月当時のものです。