
子育て中の家事は、ママとパパが連携してあたることが必要。
ですが、その連携がうまくいかずどちらかが大きなストレスを抱えることも多いのです。
パパとの上手な家事シェアの方法は?
専門家:水無田気流(國學院大学教授 社会学)
大豆生田啓友(玉川大学教授 乳幼児教育学)
【目次】
・専業主婦は家事をひとりでするべき?
・パパとの上手な家事シェアの方法は?
・夫婦で互いの家事のやり方の違いにイライラしてしまう
専業主婦は家事をひとりでするべき?
出産をきっかけに仕事を辞め専業主婦になった、1歳8か月の双子の男の子のママです。パパが家事をしないことに悩んでいます。
実は、結婚のときに「オレはやらないよ」と宣言されていました。家事のシェアはしない前提で、便利家電を買うなどの落としどころを見つけてきましたが、「家電があるんだから、たいして家事をしていないのでは?」と、家事の苦労に共感してもらえません。子どもをみながら家事をすることが、どれだけ大変なのかをわかってほしいです。パパは仕事を、私は家事をメインにすることには納得しています。ただ、土日は私もちょっと休みたい……。専業主婦なら、パパに頼らずに家事をひとりでするべきなのでしょうか?
家事の大変さはやってみないとわからない
ある調査で、働いているママよりも専業主婦の方がより強くストレスを感じているという研究結果が出たことがあります。子育てや家事の苦労は、実際にやらないとわからない。家事をママ任せにしているパパは、ママがどれだけ大変な思いをしているのかが想像できないのでしょう。ですので、パパ自身が、ちょっとしたことから家事を始めることが大事です。
パパが子育てや家事にコミットし始めると、パパにとっても得が多いと思います。家族への貢献が実感できますし、明らかに家庭が変わって、ママの笑顔も増えるでしょう。そういったパパの姿を子どもに見せることが、子どもにとって、どう生きていくかのモデルにもなっていくと思います。(大豆生田啓友さん)
「ママとパパが家庭を作る」という強い意識を持つこと
このようなパパに、私が声を大にして言いたいことは、「家事はちょこちょことできるものではない」。妻が専業主婦なのに、夫が家事をすると専業主婦の意味がないといった話をする人はとても多いですね。でもその発想は、家事代行業者の家政婦さんなどのサービスを購入している消費者の考え方です。経済の論理と生活の論理は違います。夫婦2人で生活や家庭を作り、子どもを育てていくという強い意識を持つことが大切です。(水無田気流さん)
ねぎらいの言葉も大切
パパからねぎらいの言葉をかけることも大事ですよね。もちろん、ねぎらえばそれで解決というわけではありませんが、言葉があるだけで元気になることもあると思います。全国のパパに心がけてほしいです。(大豆生田啓友さん)
パパとの上手な家事シェアの方法は?
6歳・4歳の子に加えて3人目の子どもが生まれ、家事に手いっぱいの育休中ママです。パパが、お願いした家事しかやってくれないことに不満があります。例えば3つほど頼むと、休み休みなんとか2つまで実行し、最後の1つはやる気がなくなったのか、やるのを忘れているのか……。パパが言うには「妻の要求水準が高い」ということですが、面倒な家事から逃げているように見えます。自発的にやってくれるのは、メダカの水槽の掃除だけ。ほかにもたくさん家事がたまっているので、自ら必要な家事に気付いて動いてほしいのです。
パパはママがどんな家事をしているのかよく見よう
ママにとってメダカの水槽の掃除は、10対1で負けている野球の試合終盤で打ったソロホームランのようなもの。もう勝敗には関係ないわけです。出塁しているような大事な場面で打ってほしいのに、バッターボックスに立ってもくれないのでは、チームの一員としてどうでしょうか。ママが仕事に復帰したとき、2人の連携プレイで家庭を作っていくためには、今からでもパパが家事の状況を知っていく必要があります。今は、家庭のスタメンではないのかもしれません。でも、ベンチスタートなら一層のこと、パパ自身が意識してよく見ていないと家事の優先順位がわからないのです。よく見ていないから、優先度の低い水槽の掃除を頑張ってしまうのです。(水無田気流さん)
大切なのはパパの自発性と夫婦の対話
今回のパパのような立場の方は、全国にたくさんいらっしゃると思います。「ママの要求水準が高い」という話はよく聞きますが、それは期待の表れ。期待されなくなったら何も言われなくなるので、言われているうちが花です。「やりたくないけど、言われたからやる」という受身の状態を脱して、自分から「これをやろう」と、具体的に提案してみてはどうでしょう。それがママにとって優先順位が低いものであれば、2人で対話をしてすりあわせていく。ママの方も、まずは「それは助かる」などと褒めましょう。コミュニケーションが増えて、家事の共同作業がおこることによって、夫婦関係がすごくよくなると思います。(大豆生田啓友さん)
夫婦で互いの家事のやり方の違いにイライラしてしまう
1歳5か月の女の子のママです。パパに家事をやってもらうと、自分のやり方と違ったり、勝手にモノの位置をいじられたりして、イライラしてしまいます。「ありがとう」を言う前に文句が出てしまい、反省するのですが、イライラしないようにするにはどうすればよいのでしょうか?
ママは“鬼姑(しゅうとめ)”になっていないか気をつけて
以前はお姑さんが嫁の家事のダメ出しをする嫁姑問題がよく話題になりました。それが、夫婦間で起きているかもしれないと思ってみてください。家庭ごとの落としどころを見つけて、何か言いそうになったら「心の中の鬼姑がほえていないか」と気をつけてみましょう。(水無田気流さん)
大切なのは譲り合い
大事なのはやはり、お互いに対する寛容さですね。これをやったら相手が喜ぶかな、楽になるかなといった思いがあれば、譲り合うことができると思います。(大豆生田啓友さん)
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※本記事は、 NHK 「すくすく子育て」のホームページの記事を元に構成・編集・加筆しています。記事を読んでもっと知りたいことがありましたら、ぜひ「マムアップパーク by 健幸スマイルスタジオ」にご参加ください。お待ちしています!
