「トイレに誘っても嫌がる場合はどうしたらいい?」「おむつをなかなか卒業できない」「おしっこはできてもうんちができない」「トイレの頻度が上がってしまった」……。
「トイレトレーニング②③」ではさまざまなトイレトレーニングに関する疑問や悩みについて、専門家と一緒に考えます。 

専門家:中野美和子(さいたま市立病院/小児外科医)

【目次】
子どものこだわりが強くトレーニングが進まない
おしっこはできるのにうんちはできない
トイレでするようになったら回数が増えた!

子どものこだわりが強くトレーニングが進まない

おしっこをしたそうにもじもじしているときに誘っても「トイレ行かなーい」と逃げる、3歳4か月の息子。「ごほうび作戦」などが成功してトイレでおしっこができることもあるのですが、毎度遊びのようなやりとりがくり返され、くたくたになります。便座に座りやすいよう足置きを置いてみましたが、違う場所から移してきた物なのが気になるのか、息子は「いらない!」と怒ってしまいました。

本人の希望を聞いて最大限対応する

いろんなことが自分の感覚にぴったり合わないとできない、こだわりの強いお子さんもいます。無理にトイレに行かせようとしても大騒ぎになるだけで、親子双方にとってストレスに。ストレスの強い状況では、排泄もうまくできません。まずは本人に「どうしたい?どんな台がいい?」と希望を聞くことが大切です。足置きの台を一緒に選ぶなど、トイレをお子さんのこだわりに沿った空間にしてみましょう。トイレでの排泄じたいはできているので、あせらずに待ってあげてください。(中野美和子さん)

4歳になり、保育園では布パンツを履いていて、ひとりでトイレに行けるようなのですが、家ではパンツを嫌がって履いてくれません。3歳半健診のときに多くの子どもたちがパンツだったので、トイレトレーニングを焦っています。 

園でがんばっていることをまずは評価してあげて

保育園ではできているのなら、トイレトレーニングはちゃんと進んでいます。園ではがんばって、みんなのペースに合わせているわけです。まずは、そのことを評価してあげてください。園でがんばったぶん家では楽にしたい、おむつの快適さが忘れられない、という状況だと思いますので、親御さんはその気持ちをくんであげて、おうちでは「もう少しおむつ」という進め方でよいと思います。(中野美和子さん)

おしっこはできるのにうんちはできない

トイレでおしっこはできても、うんちがなかなかできません。  

トイレトレーニングよりも排便することを優先する 

便をおなかに溜めていると便秘になる可能性が高いので、ともかく「出す」ことを優先してください。トイレでおしっこができるなら、いずれうんちもできるようになるので、しばらくは「おむつでうんち」でも問題ありません。(中野美和子さん) 

便秘かも? 

「おしっこはトイレで、うんちはおむつに替えて」という子どもは珍しくありませんが、そのような子どもの7割ぐらいに便秘があります。顔をまっ赤にしていきまないと出ない、立った姿勢でおむつの中でないと出ない。そういった排便状況にある場合、便秘であることが多いのです。 まずは子どもの排便状況を確認し、楽にうんちが出せるように便秘の改善を考えてあげましょう。(中野美和子さん) 

サポートすると効果的なことも 

うんちをするとき、親に手伝ってほしい子もいます。おなかに手を当てて軽くマッサージしたり、親もトイレで一緒になってがんばるなど、親のサポートがあればうんちが出ることがあるので、試してみてはいかがでしょうか。(中野美和子さん) 

トイレでするようになったら回数が増えた! 

1歳11か月の娘は、ひとりでトイレができるようになってから、頻尿になったようです。おまるでしていたときは1~2時間くらいの間隔でしたが、トイレでするようになってから長くても30分、短いときは5~10分でトイレに行きたがります。おまるに戻したほうがよいのか、泌尿器科で相談するのがよいのか悩んでいます。  

「心因性の頻尿」の可能性  

「おしっこ行かなくちゃ」という気持ちによる、心因性の頻尿の可能性が高いでしょう。おまるでしていたころは、おまるがリビングにあり、親が近くにいて、安心してできていたのかもしれません。 おまるで1時間以上あいていたのであれば、いったんおまるに戻すことをおすすめします。排泄は、リラックスした状況でないと十分にはできません。例えばリビングにおまるを置いて、少しずつトイレに近づけていき、最終的にトイレの中でできるように導くというのもひとつの方法です。(中野美和子さん) 

「心因性の頻尿」は子どもにも珍しくない  

「大人でも、緊張してトイレの間隔が短くなることがありますよね。子どもも、環境が変わったタイミングなどで心因性の頻尿になることがよくあります。おまるで問題なく排泄できるのであればまず問題はありません。ご心配な方は小児科を受診して尿検査などを受けるのもいいでしょう。(中野美和子さん) 

トイレトレーニングで悩んでしまったら、一度少しリラックスして待ってみることをおすすめします。親御さんの力が抜けている間に、お子さんはお子さんのペースで進んでいき、いつの間にかおむつが外れていた、というパターンはとても多いのです。「早い、遅い」を気にしすぎず、子どもの成長を気長に待ちましょう。 

©NHK
※本記事は、 NHK 「すくすく子育て」のホームページの記事を元に構成・編集・加筆しています。記事を読んでもっと知りたいことがありましたら、ぜひ「マムアップパーク by 健幸スマイルスタジオ」にご参加ください。お待ちしています!
※記事の内容や専門家の肩書などは2024年7月当時のものです。