子どもが成長してくると、言葉を使っていろんなやり取りができるようになります。でも、「ママが悪い!」「パパ嫌い」などと言われると、冷静に対応できないこともありますよね。
②では、「こんな時はどうすればいい?」に専門家が答えます。 

専門家:福丸由佳(白梅学園大学 教授/発達臨床心理学) 
    井桁容子(保育士)

【目次】
否定的な言葉を言われたら?
「パパ嫌い!」への対処法
「関心を引きたい」思いを受け止めよう

否定的な言葉を言われたら?

5歳の息子は、何かがうまくできなかったときに「ママのせいだ!」と怒ります。そう言われると、私もイラッとして感情的な言い方をしてしまうことがあります。感情的にならずに対応する方法があれば知りたいです。  

まずは、ひと呼吸おく 

「ママのせい」と言われてもすぐに言い返さず、ひと呼吸おいて「そうかぁ、一生懸命やったのに上手くできなくて悔しいんだね」と子どもの感情を受け止めてあげましょう。(福丸由佳さん)

誰かのせいにするのではなく、一緒に考えようと促す 

次に、気持ちを切り替えて見方を変えることができるように「ママと一緒に解決方法を考えよう」と提案してみましょう。解決できるモデルを見せてあげてもよいし、解決できなくても一緒に考えるだけでもよいのです。誰かのせいにする前に、他の方法があるかもしれないと考えるくせをつける練習になります。今後、お友だちとの関係や学校など、このような問題が起こる機会はたくさんあります。そんなとき、子どもはママが一緒に考えてくれたことを思い出して、考えてみよう、やり直してみようと思えるようになるのです。(井桁容子さん)

 否定的な言葉を避け、子どもにわかりやすい肯定文で 

時間がない状況では、子どもにしてほしいことを肯定文で伝えるようにしましょう。「時間がないから、そんなことしていたらダメ」といった否定文で言ってしまうと、子どもは素直に聞こうとしなくなります。例えば「お風呂の時間だから、おもちゃを片付けよう」などと、子どもにとって具体的で、わかりやすい伝え方をしましょう。(福丸由佳さん)

イヤな言葉には変化球で返す  

否定的な言葉を直球で受けて、直球で返すのではなく、変化球で返してみます。「嫌い」と言われたら「私は大好きなのに残念だな。好きになったら教えてね。それまで待つよ」などと返してみてください。このような切り返しは、日常生活や仕事のコミュニケーションにも役立つと思います。(井桁容子さん)    

「パパ嫌い!」への対処法

5歳の娘は、「もうパパとはあいさつ以外話さない」と言ったり、お風呂に入ろうと誘っても「パパと一緒だと、ダメばっかり言うからイヤ」と言ったり。特に忙しくて時間がないときはどうしてもいろいろと言ってしまい、「パパ嫌い」となってしまいます。

「パパ嫌い」の背景にはいろいろな気持ちがある 

言葉の背景には、さまざまな気持ちがあるはずです。パパのことが大好きだからこそ「もっと遊びたい」「こうしてほしい」「今はひとりでいたい」といった気持ちをぶつけることができるのではないでしょうか。「嫌い」という言葉に、そういった気持ちが集約されていると思います。(福丸由佳さん)

少しずつ信頼を積み重ねよう  

パパに余裕があるときに、徹底的に子どもを優先して待ってあげる日をつくってみてください。「パパは待ってくれた」という経験が、パパへの信頼となって積み重なっていきます。すると、子どもは「パパはとことん付き合ってくれる。でも、忙しいときは私に急いでほしいんだ」と考えるようになります。子どもは、積み重ねた信頼に、必ずこたえてくれるのです。(井桁容子さん) 

「関心を引きたい」思いを受け止めよう 

5歳の娘は、大人同士が話しているとすぐに割って入ってきます。娘にわからない言葉が出てくると「○○ってc何?」と質問攻めが始まったりも。夫婦の会話がいつも途中で終わってしまいます。 

人間には「関心を引きたい」という気持ちがある 

人間は社会的動物です。誰かに見てほしい、気づいてほしい、関心を引きたいという気持ちがあります。それは大人も子どもも同じです。お子さんが会話に入りたいと思うのは自然なことだと思います。(福丸由佳さん) 

子どもの相手をする余裕がないときは?

「待っててね」に、子どもが見通しを持てる情報を+ 

「今はママとパパで大事な話をしているから、ちょっと待っててね」と伝えます。このとき、「時計の針がここにくるまでね」と付け加えるなどの工夫をしましょう。子どもに、待つ時間の見通しを持てるようにしてあげるのです。
そして、大事な話が終わった後、「何が言いたかったの?」と子どもを急かさないでください。「よく待てたね。今度は話を聞くよ」と、待てたことをきちんとフォローしてあげると、子どもは頑張ったかいを感じ、「待つことも大事」だと学ぶ機会にもなります。(福丸由佳さん)

多くの子どもたちがいる保育の現場では?

 「自分の思いを受け止めてもらえる」と知れば待てる

子どもは、自分の思いが受け止めてもらえる、聞いてもらえるという確信が持てると、静かに待つことができるようになります。ですので、最初は子どもが話したいことを聞いて、“聞いてもらえる”という確信を持たせてあげます。それが1~2分の時間でも、聞いてもらえると感じれば、子どもは聞いてもらった時間を他の誰かにあげられるものなのです。(井桁容子さん) 

©NHK
※本記事は、 NHK 「すくすく子育て」のホームページの記事を元に構成・編集・加筆しています。記事を読んでもっと知りたいことがありましたら、ぜひ「マムアップパーク by 健幸スマイルスタジオ」にご参加ください。お待ちしています!
※記事の内容や専門家の肩書などは2024年7月当時のものです。