
「コミュニケーション」とは気持ちや考えを相手に伝えること、伝え合うこと。コミュニケーション力はどのように育まれるのでしょうか?
出発点は「共感」。親子のコミュニケーションについて専門家と一緒に考えてみましょう。
専門家:福丸由佳(白梅学園大学 教授/発達臨床心理学)
井桁容子(保育士)
【目次】
・まだ言葉を話せない子どもと、どうコミュニケーションすればいい?
・コミュニケーションには「親目線」と「子ども目線」がある
まだ言葉を話せない子どもと、どうコミュニケーションすればいい?
11か月の娘が泣いている理由がわかりません。まだ言葉を話すことができないため、急に泣いたり叫んだりしても、理由を聞くことができずに困ってしまいます。
赤ちゃんの気持ちを想像しながら言葉をかける
まだ言葉が出ていない子どもにとって、泣くことは大事なコミュニケーション。何かに気づいてもらおうとしたり、何かをアピールしたりしています。親は、子どもの気持ちを想像してみてください。そして、「これが欲しかったんだね」と、子どもの気持ちを言葉にしてあげましょう。
何を思っているのか見当もつかないときは、「ママも困ったよ、泣きたいんだねぇ」とあやすだけになるかもしれません。ですが、そうやってコミュニケーションが少しずつできていくと思います。(福丸由佳さん)
共感する言葉をもらうと、その言葉を身につけていく
子どもは、共感する言葉をもらうと、その言葉を身につけていきます。例えば、何かを欲しそうなときに「“とって”だったの?」と声をかけたりすると、次第に子どもから「とってー」と言うようになります。気持ちをわかってくれる大人がいると、子どものコミュニケーション力が高くなるのです。泣きやませようとするより、「そうかそうか、嫌なことがあったんだね」と気持ちをわかってあげようとすることが、子どもの心の育ちにつながっていきます。(井桁容子さん)
幼児期は自分を表現することが大切
幼児期のコミュニケーションでは自分の思いを表現することが大切です。そして、自分の思いを聞いてもらえた経験が、人の話を聞くことにつながります。(井桁容子さん)
コミュニケーションには「親の目線」と「子どもの目線」がある
親子でコミュニケーションを取る際に気をつけたいこと……それは、コミュニケーションには「親目線」と「子ども目線」があるということです。
子どもに幼稚園のことを話してもらうには? 5歳の息子に「幼稚園どうだった?」と質問しても、「楽しかったよ」など、答えがひと言ぐらいしか返ってきません。もっといろいろと知りたいのですが……。
子どもが話しやすいとき、話したいときに
子どもは幼稚園から帰ってすぐは、疲れているのでホッとしたいと思います。そんなときに「今日はどうだった?」と聞かれると、少し待ってほしいと思うかもしれません。それなら、お風呂の中で子どもがリラックスしているときなど、話しやすいタイミングを見計らって聞くとよいでしょう。(福丸由佳さん)
質問をしないで待ってみる
大人が聞きたいことと、子どもが話したいことが違うこともあります。まずは、子どもが話したいことを聞いてみましょう。例えば、子どもから話してくれたことに「そうだったんだね」と興味を示すのです。「楽しかった」のひと言も、「楽しかったんだね。よかったね」とこたえれば、子どもから「それでね」と話が続くこともあります。質問するのではなく、子どもに共感して待ってあげることも大切です。(福丸由佳さん)
子どもの思いを尊重する
子どもは全身に感情が出てきます。まずは帰ってきたときの表情や動きをみてください。いつもと少し違うなと感じたら、子どもが話したくなる雰囲気を待ってみましょう。うれしいことなら、がまんできずにあふれ出るはずです。話したくないことでも、しばらく待ってあげると、2日後ぐらいに「この前ね」と話してくれることも。親のほうから「子どもをわかりたい」と強引に入っていくより、子どもの思いに気付けるようにしましょう。子どもの思いを尊重し、全体の様子でみてあげたほうが、結果的に話もしてくれるようになると思います。(井桁容子さん)
©NHK
※本記事は、 NHK 「すくすく子育て」のホームページの記事を元に構成・編集・加筆しています。記事を読んでもっと知りたいことがありましたら、ぜひ「マムアップパーク by 健幸スマイルスタジオ」にご参加ください。お待ちしています!
※記事の内容や専門家の肩書などは2024年7月当時のものです。