
自然とのふれあいは、子どもにとって、生き物について知り、命を尊ぶことを学ぶとても大切な体験。
でも、赤ちゃんの反応はいまひとつ?どのように自然にふれさせたらよいのかわからない……。
そんなお悩みが聞かれます。でも心配ご無用、もともと子どもは自然が大好きなのです。
大切なのは、親も一緒になって楽しむこと。赤ちゃんと楽しむ自然体験のヒントを専門家にうかがいました。
専門家:大豆生田啓友(玉川大学 教授/乳幼児教育学)
多田多恵子(立教大学・国際基督教大学 兼任講師/植物生態学)
【目次】
・赤ちゃんが持っている興味をくみとろう
・幼少期から自然に親しむ意味とは
赤ちゃんが持っている興味をくみとろう
毎朝、近所の公園を5ヶ月の子どもと散歩しています。子どもが自然に興味を持つように、散歩しながら「セミが鳴いてるね」と声をかけてみたり、きれいな葉っぱを見つけて触らせてみたりしています。でも、子どもの反応はいまひとつで、意味があるのか気になっています。
赤ちゃんは、自ら「知りたい」と思っている
大人は意識して「自然に触れさせよう」としますが、もともと子どもは自然が好きなものです。意思表示が発展途上にあるので、それがわかりにくいだけ。例えば、木陰にベビーカーを置いていたら、葉っぱが揺れている様子をずっと楽しんで見ていたりします。赤ちゃんは、自ら「知りたい」と思っているといわれています。(大豆生田啓友さん)
草花などを目の前に出してみる
もし草花があったら、赤ちゃんの目の前に出してみましょう。興味を持てば、自分から手を出そうとします。はじめはかすかであっても、成長してくると顕著に自分から取ったり触れたりしようとするようになります。そういった関わり方がいいのではないでしょうか。(大豆生田啓友さん)
親も一緒に楽しもう!
ご自身が自然遊び体験をあまりしてこなかった親御さんも、これから子どもと一緒に体験できます。子育ては、自分が子どものころに体験しなかったことができるチャンスでもあります。赤ちゃんに「~させよう」とするのではなく、ご自分も一緒に楽しんでみてください。(多田多恵子さん)

最初は見ているだけだったのが、枝を重ねてみたり、葉っぱを乗せてみたり……あらっお料理の完成!
幼少期から自然に親しむ意味とは
子どもがアリを踏みつけます。どう声かけしたらいいの?
生きている姿を自分で見ることが大事
やはり、虫たちが生きている姿を自分で見ることが大事だと思います。ときには、うっかり自分で殺してしまうこともありますが、そのとき「虫は死んじゃうんだ」と学ぶことができます。なんでも「やってはダメ」と言うより、積極的に関わる中で自ら学ぶのではないかと思います。(多田多恵子さん)
生き物に触れる経験が命をいとおしむことにつながる
自分が飼っている虫だったら、つぶすことはありませんよね。いとおしくなって、大事にしようとします。ダンゴ虫が大好きになると、死なないようにしたいと思うようになります。
最初から「命を大事にしよう」ではなく、生き物を大好きになる経験が、生命をいとおしむ経験になり、それが広がっていくと思います。小さな頃に、いろんな生き物に出会って「すてきだ」「大好きだ」と思うことは、大人になったときに、どう環境と共生するかを考えることにつながっていくのではないかと思います。(大豆生田啓友さん)

~「アリと見れば踏みつける」という時期を経験するお子さんは少なくありません。「すばやく動くアリを捕まえたい」「止めてみたい」と思って踏んだら死んでしまった。そこで、「踏んだら虫は傷つくし、程度によっては死んでしまうんだ」と学ぶのですね。親としてはやっきになって叱りたくなるところですが、大人の常識と子どもの感覚の違いを理解し、長い目で見守ることも大切です。 ~<マムアップパーク編集部>
©NHK
※本記事は、 NHK 「すくすく子育て」のホームページの記事を元に構成・編集・加筆しています。記事を読んでもっと知りたいことがありましたら、ぜひ「マムアップパーク by 健幸スマイルスタジオ」にご参加ください。お待ちしています!
※記事の内容や専門家の肩書などは2024年7月当時のものです。