「パパではダメで、ママでないと寝てくれない」「どうやって寝かしつけたらいいのか……」
②では、寝かしつけのコツを専門家に教えていただきました。 

専門家:黒田公美(理化学研究所 脳神経科学研究センター) 
井桁容子(元保育士)

【目次】
入眠と体温の関係
オススメ寝かしつけ方法「だっこで5分歩き」
「ぐっすりねんね」のために大切なこと

入眠と体温の関係

体から少し熱を逃がすと眠りにつきやすい

赤ちゃんに限らず、大人も眠りに入るときには、体から少し熱を逃がす必要があることがわかっています。特に、赤ちゃんが汗ばんでいるなど暑そうな場合は、服や布団を調節して熱を少し逃がしてあげることが、眠りにつきやすくなるポイントです。冬場などは、布団から出ている赤ちゃんの手が少しひんやりしているぐらいが正常です。ぬくぬくの肉まんのような温かさでは、暑すぎる可能性があります。汗をかかない程度に保温しましょう。(黒田公美さん)

寝ついて1時間ぐらいは汗をかく 

寝ついてだいたい1時間ぐらいの赤ちゃんは、とても汗をかいていますよね。その間はあまり布団をかけず、汗をひととおりかいた後から布団をかけてあげるくらいにすると、よく眠れると思います。(井桁容子さん)

オススメ寝かしつけ方法「だっこで5分歩き」

赤ちゃんの「輸送反応」を利用する

寝かしつけ時、ひとつの方法として「だっこで5分間歩き」を試してみてもよいでしょう。 
哺乳類の赤ちゃんには「輸送反応」といわれる、親に運ばれるときにおとなしくなる反応があります。例えば野生動物の親は、自然界の脅威から逃れるためなど、目的があって子どもを運びますが、そのとき子どもが泣いたり暴れたりしていると命に関わります。子どもはそれを本能で理解していて、運ばれていることがわかるとおとなしくなるわけです。人間の赤ちゃんにも、そのような反応があることがわかっています。効果が出やすいのは、体重があまり重くない生後1か月~8か月ごろまでです。(黒田公美さん) 
※生後1か月以内や筋力が弱いなど、体の心配がある赤ちゃんには行わないでください。

ポイントは「ペースを保つ」「見ない」「くっつける」

・一定のペースを保って淡々と 
「あやすため」に歩くのではなく、「理由があって移動する」イメージです。たとえば、「用事があって駅まで行く」という気持ちで、なるべく止まらず一定のペースを保ちながら、5分間ゆっくりと歩きます。部屋の中を周回するなど、回転するように歩くと、ペースを保ちやすいでしょう。 
・赤ちゃんを見ない 
歩くときは、なるべく赤ちゃんを見ないこと。つい「もう寝たかな」と赤ちゃんを見てしまいがちです。そのとき立ち止まったりすると、赤ちゃんも見られていると気づきます。親の注意が歩くことに向いていないこともわかるのです。 
・赤ちゃんの体を自分にぴったりくっつける 
赤ちゃんをだっこするときに、赤ちゃんのおなか・胸・頭までを体にぴったりくっつけることが望ましいです。歩くときは、赤ちゃんの頭がぐらつかないようにしてください。特に首がすわっていない時期は、しっかりと後頭部を支えて、頬を胸か肩に乗せ、もたせかけるようにして歩くとよいでしょう。縦抱きのほうが密着する面積が大きくなりやすいので、最初は縦か斜めぐらいで抱くとよいでしょう。体にぴたっとついている感じを大切にしてください。(黒田公美さん)

5分間歩いても泣きやまない場合は、どうすればいいですか? 

10分まで延長し、それ以降は理由探しを 

10分ぐらいまでは延長してもいいでしょう。日常の中でも、それぐらいだっこして歩くことがありますよね。それでも泣きやまない場合は、何か理由があるのかもしれません。いったん歩くのは休んで、体温を測ってみるなど、赤ちゃんにふだんと違うところがないか確認したほうがいいと思います。(黒田公美さん)

だっこで泣きやんでも、布団に降ろすときに泣いてしまいます。何かコツはありますか? 

体を密着させて、ことばをかけながら 

まず、赤ちゃんはお母さんと体が密着しているのが安心なんです。布団に降ろすとき、頭の位置が先に下がってしまうと不安になるので、お尻から降ろします。それから、お母さんの胸を赤ちゃんにつけたまま、お尻から背中にむけて降ろしてあげます。そして、赤ちゃんの両手を自分の手で優しく覆うようにして、「大丈夫よ」「気持ちいいね」と声をかけながら、だんだん離してあげます。サッと離してしまうと、赤ちゃんは手がふわっとなって不安になりますので慎重に。 
親が「大丈夫かな」とドキドキしてしまうと、赤ちゃんに伝わってしまうこともあるので、親もできるだけリラックスを心がけましょう。(井桁容子さん) 

「ぐっすりねんね」のために大切なこと

赤ちゃんが自分からぐっすり眠ってくれるのが理想ですが、ぐっすりねんねに大切なことはありますか? 

昼間を気持ちよく過ごすことが、夜の”ほっとする”時間につながる 

昼間の時間を大事にしましょう。昼間を気持ちよく過ごしてメリハリをつけてあげると、気持ちよく疲れて、夜の”ほっとする”時間につながります。このくり返しの中で、夜がだんだんと気持ちいい時間になるでしょう。(井桁容子さん)

©NHK
※本記事は、 NHK 「すくすく子育て」のホームページの記事を元に構成・編集・加筆しています。記事を読んでもっと知りたいことがありましたら、ぜひ「マムアップパーク by 健幸スマイルスタジオ」にご参加ください。お待ちしています!
※記事の内容や専門家の肩書などは2024年7月当時のものです。