子育ての最初に直面する悩みのひとつ、「寝かしつけ」。
「どうしても時間がかかる」「頻繁な夜泣きはどうして?」 
赤ちゃんの寝かしつけはなぜ大変なのか、専門家が解説してくれました。 

専門家:黒田公美(理化学研究所 脳神経科学研究センター) 
井桁容子(元保育士)

【目次】
赤ちゃんは最初から上手に眠れるわけではない
「夜泣き」も学習の過程

赤ちゃんは最初から上手に眠れるわけではない

経験の積み重ねが、自分の体の状態を知ることにつながる 

まず理解しておきたいのは、「赤ちゃんは最初からうまく寝たり起きたりできるわけではない」ということです。個人差は大きいですが、だんだん上手に眠れるようになります。(黒田公美さん) 

大人でも、自分の体のことは経験を積み重ねていかないとわからないですよね。例えば「あんよ」だって、転びながら上手になっていきます。眠ることも同じです。(井桁容子さん) 

「疲れていることに気づく」経験が、赤ちゃんの学びの第一歩  

子どもは、「ホッとする(=リラックスする)」経験の積み重ねによって「疲れている」体の状態を知っていきます。赤ちゃんにとってはまず、疲れていることに気づく経験が大事です。例えば、赤ちゃんが目をこすったりあくびするなど、「疲れてきたな」という信号を出してくれたときは、「眠くなってきたね」のように声をかけてみてください。「これは『眠くなってきた』ということなんだ」と、”眠たい”状態を学んでいくことができます。リラックスするポイントは、子どもによって違います。音楽でリラックスできる子もいれば、音楽はだめで、だっこがいい子も。絵本や子守歌、トントンなど、お子さんがリラックスして、ホッとできるところを一生懸命探していくことが大切です。(井桁容子さん) 

「夜泣き」も学習の過程

次男(5か月)は、ひと晩のうちに何度も、多い時は1時間おきに夜泣きします。寝かしつけの授乳をミルクにかえるなど、いろいろ試してみましたが、通用しませんでした。泣きたいだけなのか、おなかがすいているのか。長男のときにはほとんど経験したことがなく、どうしたらいいのか悩んでいます。 

赤ちゃんは睡眠と覚醒のリズムを学んでいる途中 

脳には睡眠中枢と覚醒中枢があり、それぞれが切り替わることで、睡眠から覚醒、覚醒から睡眠へ移っていきます。睡眠と覚醒のリズムを学んでいる最中の赤ちゃんは、スイッチのように切り替えることがうまくできないと考えられています。切り替えの途中で嫌な感じがして泣いてしまったり、眠いのに寝られなくてぐずったり、すっきり起きられなくて泣いたり。赤ちゃんは練習している途中なので、少し長い目でみましょう。(黒田公美さん) 

泣くことは赤ちゃんの重要な発信手段 

「おなかがすいたよ」「のどが渇いたよ」「暑いよ」「夢を見たよ」などを、赤ちゃんは泣くことで発信します。赤ちゃんが泣くと、大人は泣きやませたくなりますが、その前に何の発信なのか少し察してみてください。だんだん「こうするとよく寝る」がわかってくると思います。わかるまでの折り合いのつけ方が大事かもしれませんね。(井桁容子さん)  

ネットで、「泣いても放置することで赤ちゃんがよく眠れるようになる」というねんねの練習法を見ました。効果はあるのですか? 

子どもによって合う・合わないがある 

最近の研究によると、効果がある子どもがいる一方で、合わない子もいます。いちど試してみるのもいいでしょう。親によっては、泣かせたままにすることが罪悪感やストレスになる場合もあるので、方法に固執せず「自分には合わなかった」とあきらめてもいいと思います。(黒田公美さん) 

2歳半ぐらいになると、夜泣きは減ってくる 

夜泣きの悩みは、9か月~1歳半ぐらいのお子さんでとても多いようです。この時期の睡眠の脳波を調べた実験では、非常に早いサイクルで夜中に何回も起きかけていることがわかっています。これがだんだん安定して、睡眠が浅くなってきても起きるまでにいたらず、また眠りに戻れるようになります。2歳半ぐらいになると、夜泣きは減ってくるでしょう。(黒田公美さん)

(②「寝かしつけのコツ」に続く)

©NHK
※本記事は、 NHK 「すくすく子育て」のホームページの記事を元に構成・編集・加筆しています。記事を読んでもっと知りたいことがありましたら、ぜひ「マムアップパーク by 健幸スマイルスタジオ」にご参加ください。お待ちしています!
※記事の内容や専門家の肩書などは2024年7月当時のものです。